パール判事東京裁判で唯一、国際法の専門家といわれる
インドのパール判事。その主張とは… |
●パールは日本に対して無罪とはいっていない。ただしA級戦犯が「平和に対する罪」を犯したとして処刑されたことに、真っ向から反対した。「平和に対する罪」は犯罪ではないというのである。当時の国家にはそれぞれ交戦権があり、他国に対する武力行使を犯罪とする国際法は存在しなかったからだ。 ●これに対して検察側は、日本は不戦条約(国策の手段としての戦争放棄)を破ったのだから犯罪に値すると述べたが、パールは不戦条約締結後、第二次大戦までの間に条約に違反して武力行使を行い、犯罪とみなされた例は無いと反論している。
まして、その指導者の個人的責任を問いただした例は皆無だとして、日本のみがこのような法廷に被告として立たされ、罪状を科せられるのは不当だとしたのである。 ●博士の労作「パール判決書」は、勿論法廷で読まれることもなく、占領政策に有害として発禁の扱いを受けている。日本で正式に発行にこぎつけたのは、東京裁判開廷20周年に当たる1966年だった。 《上坂冬子 「戦争を知らない人のための靖国問題」》 ●コルカタ、ムンバイ(ボンベイ)の高裁長官を務めたA・M・バタチャルジーがパルから聞いた話…「当時、ネルー首相から『インドと友好関係にある連合国の意を損ねるようなことはしないでほしい』と求められましたが、『首相ができることは私を交代させることだけであって、仕事の中身まで指示してはいけません』と答えたのです」 《隅田佳孝 朝日新聞2006/7/14》 ●確かにパール判決書には、張作霖爆殺事件を「無謀でまた卑怯でもある」とか、満洲事変を「たしかに非難すべきものであった」とする表現もある。だがそれは、日本の戦争を正当化しないものなのか? ●左翼学者の中には、イギリスに蹂躙されていた国であるインドのパール判事は、西洋帝国主義の「白人の優越」に対して反感を持っていたと指摘し、「パールは中立的立場ではなかった」と言い始める者までいる。動機よりも法感覚の方が重要なはずだが、パールの国際法感覚を疑うことができぬ以上、インド人であるパールの人種的動機を疑うことから、東京裁判を全面否定する根拠を失わせようとする戦略に出るわけだ。 《小林よしのり 「いわゆるA級戦犯」》 ●朝日新聞は2006年7月12日朝刊第一面で、「『日本無罪論』パルの真意は」と題した記事を載せ、さらに3ページも使った大特集を組んだ。 朝日は躍起になってこう唱えるのだ。パール氏の判決書は「日本無罪論」ではない!東京裁判を全面否定すべきではない! ●だが滑稽というか正直というかこの記事、「日本無罪論」という題名は田中正明氏がパール判決の解説書を出版する際、パール氏本人の許可を得てつけたと書いている。にもかかわらず、どうやって朝日は「日本無罪論ではない」と強弁しようというのか? ●記事では国際日本文化研究センターの助教授・牛村圭が、こんなことを言っている。「読まない人たちによる“伝言ゲーム”が続いている。たとえばパルは東京裁判当時は国際法の専門家ではなかったのに、国際法の権威だったと奉るようなことだ」 ●パール氏は既に1937年にハーグで開かれた国際法学会の総会において、インド人で初めて議長団の一員に選ばれ、国際法学界における名声を高めていた。 《小林よしのり 「ゴー宣・暫(1)」》 …笑える!まるで漫才だ。(管理者) ●インド代表判事パルは、のちに国際法の世界的権威と呼ばれるようになる。 《大岡優一郎 「東京裁判フランス人判事の無罪論」》 ●筆者は太平洋戦争の開戦へいたる日本の政治的指導層の愚劣さをいささかでもゆるす気になれないのだが、それにしても東京裁判においてインド代表の判事パル氏がいったように、アメリカ人があそこまで日本を締めあげ、窮地においこんでしまえば、武器なき小国といえども起ちあがったであろうといった言葉は、歴史に対するふかい英智と洞察力がこめられているとおもっている。 《司馬遼太郎 「坂の上の雲」》 ●パール…「勝者によって今日与えられた犯罪の定義に従っていわゆる裁判を行うということは、敗戦者を即時殺戮した昔とわれわれの時代との間に横たわるところの、数世紀にわたる文明を抹殺するものである」 《岡崎久彦 中央公論2006/1月号》 ●パール判事は、日本は国際法的に無罪という判決を出しているのに、中島岳志という学者は「パールは道義的責任があると言っている」と主張する。 ●でも、パールの書いたものの中に、そんなことを言っている箇所なんか一つもない。あるわけがないんだ。だって、裁判官は法律に基づいて裁くのだから。道義的な責任があるかどうかは、一人ひとりの日本人が考えることであって、それはもう個人の良心の問題。あるいは、倫理的に神の領域になってしまう。 《小林よしのり 「誇りある沖縄へ」》 ●東京裁判のインド代表の判事であったラダ・ビノード・パールは、国際法学者として、この裁判が戦勝国による「儀式化された復讐」であるとして、11名の判事のなかで、ただ1人、日本無罪論を主張した。 ●また、同判事は、昭和27年11月に、広島高等裁判所の講演で、「日本の子弟が(東京裁判によって)歪められた罪悪感を背負い、卑屈、退廃に流れるのを見逃すことはできない」と語った。 《富岡幸一郎 「新大東亜戦争肯定論」》 |
【東京裁判】 ★公正な裁判とは/東京裁判と比較 ★不当な裁判/裁判の体をなしていない茶番 ★戦犯とは/ABCランクの意味 ★A級戦犯/誤解されている人物像 ★侵略戦争とは何か/いまだに定義されていない事実 ★パール判事/唯一理性的だった判事 ★日本への弁護/近年の東京裁判に対する世界の評価 ★東京裁判の本質/誰も評価していない単なる復讐・見せしめ裁判 ★東京裁判受諾/誤解されているその意味 ★B・C級戦犯とは/その区分と悲惨さ |