侵略戦争とはA級戦犯が裁かれた理由は
「戦争を起こした」(平和に対する罪) ということ。 日本ではこれは当然の罪だと思われているが それに対する異論とは?そして「侵略」とは… |
●太平洋戦争を起こしたこと自体は、当時の国際法からいえば合法的だった。そもそも当時すでに第二次世界大戦は始まっていた。 《小林よしのり 竹田青嗣 「正義・戦争・国家論」》 ●侵略戦争については… ◇1928年の不戦条約にも定義はなく、どんな責任を問われるかも定められていない。 ◇1974年の国連総会で「侵略」の基準を示す決議が採択されたが、個別の認定は安保理に委ねられた。 ◇1998年のICC設立条約に侵略の罪を犯した者は処罰できるという規定は入ったが、何が侵略であるかは再検討することになった。システムとしてはまだ不完全である。 《安藤仁介 朝日新聞2006/7/12》
●国家に交戦権が認められている以上、A級戦犯が問われた「平和に対する罪」はもともと成立しない。第一、互いに敵を殺し合った同士が、目くそ鼻くそを罵るである。 《上坂冬子 諸君!2005/8月号》 ●仮に日本が批准していた不戦条約違反だとしても、その指導者が絞首刑になることの間には大きな法的ギャップがある。またアメリカも自衛戦争かどうかはアメリカが勝手に決めると留保した。 《岡崎久彦 テレビ朝日「朝まで生テレビ」》 ●1928年パリで「不戦条約」が締結された。(戦争放棄に関する条約)しかしこれは重大な欠陥があった。列強の主張によって自衛戦争を除外したことである。特にアメリカは自衛権発動の場合、それが正当であるか否かの裁定権は当事国にあると主張した。(またこの範囲は自国領土に限らないとも主張した) これでは全く無効である。なぜなら全ての戦争は、自衛の名の下で行われるからである。 《中村粲 「大東亜戦争への道」》 ●国際法的に厳密にいえば、戦争は特定の「法的状態」であり、またそのような状態のもとでの諸国による交戦権の行使でもある。国家は「開戦権」を行使して、一方的な宣戦布告(開戦宣言-戦争意思の相手国への伝達)により、相手国との間に正式な「戦争状態」を創出できるものとされた。 こうして交戦国となった国家は、国際法により「交戦権」の行使を許容されることになる。 ●「侵攻戦争」であるか「自衛戦争」であるかは、実際には各国家が「自己解釈権」を行使して、自ら判断するものとされた。また、「侵攻」の国際法的定義は未確定で、国際社会で曲がりなりにも一般的な定義が作成されたのは、1974年12月のことだった。 《佐藤和男 「世界がさばく東京裁判」》 ●検察側は不戦条約を殆ど唯一の根拠として「侵攻戦争は犯罪」とし、日本の戦争が「侵攻戦争であるかどうか」を裁判で認定する権限は連合国のみあり、「自衛権の発動は、相当に予想される武力的領土侵入の場合に対してのみ許されるのであって、武力包囲とか、いわんや経済的包囲に対して許されるものではない」と主張したのである。 ●この主張が、ケロッグ・ブリアンの解釈と真っ向から対立することは言うまでもない。不戦条約を踏まえるならば、日本にとって死活的な権益の存在する満洲を実力で守り、かつ連合国の武力的経済包囲網によって国家は危機に陥ったと判断して、戦争に訴え、その行動を自ら「自衛戦争」であると解釈する権限を、日本は有していたと判断するのが妥当であろう。 《江崎道朗 〃 》 ●侵略戦争を理由に訴追することは不可能である。だれが何を「侵略」と定義するかというのが問題になるから。定義するのは常に勝者ということになる。 《リチャード・マイニア 朝日新聞2006/5/3》 ●国際社会は何を正義とし、何を不正義とするかを決めることが殆どの場合できない。国際社会には価値の共同体は存在しないからである。したがって、ある行為を侵略行為と判断し、それに対して制裁を行うことが、十分正当ではなく、さらには不当なことさえありうる。実際、米大統領ウィルソンが提唱して作られた国際連盟を米国議会が拒否したのはこの点にかかわる。戦争を非合法化した時代のジレンマを象徴する。 ●こうして自衛権を認めざるを得ないが、昔からいかに多くの戦争が自衛の名の下に戦われてきたことか。逆に言えば、侵略を定義しようとする試みがいかに多く行われ、満足すべき答えが得られなかったことか。こうして曖昧さが現れる。 ●このような微妙で曖昧な原則がすぐに徹底することはありえない。実際、第二次大戦はこうした原則の曖昧さのために起こった面がある。イギリスやフランスの人々は、侵略行為は見逃されてはならないが、しかしそのために戦争はすべきではない、と言ったものだった。その間侵略行為は続いた。
●第二次大戦後になると、戦争の非合法化は随分定着した。しかしそれはかなりの程度核兵器の出現によるもので、戦争によって国際紛争を解決したり、さらには国益を伸長することが明白に非現実的になったからであった。 《高坂正堯 「戦後50年は日本を幸せにしたか」》 ●米英が植民地にしていたところが戦場になった事実はあるが、仮にそれが侵略だというならば、もともとの植民地政策こそが根本的な侵略行為にほかならない。 《渡部昇一 正論2009/3月号》 ●パリ不戦条約では、戦場がどこかということは侵略戦争の定義上、問題にしていない。極端な例だが、沖縄の米軍基地を自衛隊が先制攻撃したら、それは日本による米国への侵略となる。 ●さらにパリ不戦条約の枠組みでは、国家の統一のために他国が植民地としている地域に軍隊を送るのも、分離独立のための武力行使も、侵略戦争とみなされる。その国の人々にとって道義的に正義の主張であっても、国際法的には違法行為となる。このルールは原則的に今も生きている。 《別宮暖朗 文芸春秋2009/4月号》 ●平和条約として捉えられがちなパリ不戦条約のもう1つの側面である。理想論とは別に、戦争の禁止がそのまま世界の勢力地図の現状維持につながっている。 《福田和也 〃 》 ●戦争とは、国家主権(政治行為)を最高度に発動した形態である。このような重大な法律行為に関して、ある特定の国家を戦争犯罪国とみなす国際法を作ることなど不可能であるし、またそのような行為は国際慣習にも馴染まないものだ。 《福井雄三 「司馬遼太郎と東京裁判」》 ●戦後、イギリスやオランダはアジアの植民地を奪還しようとした。ところが、現地の人々は占領時に白人が日本軍にさんざんやっつけられたのを見ていたから、何するものぞという独立運動が高まった。 《諸君!2002/2月号》 ●百歩譲って、大東亜戦争が侵略戦争であったとしても、日本はその当時の支配地を全て返還している。それどころか、固有の領土を侵略までされている。それに対して、アメリカ大陸やハワイ・その他欧米は侵略した地を全て返し終わっていない。 《渡部昇一 小室直樹 「封印の昭和史」 他の著書「禁忌破りの近現代史」》 ●田中美知太郎『時代と私』… 「戦争は1つの事実であるが、それが侵略戦争であるか、解放戦争であるかといふやうなことは、どっちにも取れる解釈上の問題であって、一義的に決定することはできない。歴史上のすべての戦争はさういふ多義性をもっているかもしれない」 《尾川正二 「戦争虚構と真実」》 ●米国のアフガニスタン侵攻は、タリバンから見ればこれは異民族による侵略であるが、第三者から見るとアフガニスタンが米国によって解放されたと考えることもできる。 《キム・ワンソプ 「日韓『禁断の歴史』」》 ●乾隆帝は今でも中国史上燦然と輝く名君とされているが、10回にわたる「遠征」を行っている。 これは受け側から見れば「侵略」である。(現在の新彊ウイグル自治区・ベトナム・ビルマ・台湾等)
しかも敵は「対等の国交や通商はない」という中華思想に凝り固まっている。いや、それどころか「蛮族」だと規定している。中国側から言えば「害虫」を殺すようなもので、罪悪感など全くない。これはアメリカ人における、インディアンをどのように扱ったかと同じ。
《井沢元彦 「逆説の日本史(11)」》 |
※関連ページ : 自虐史観内の「戦争とは」も参考に。 |
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